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師匠の原稿⑧

師匠の原稿⑧

 


『命運』 本義

 


✨命運✨

生命が宇宙空間を運ばれて行く動態を言うが運から生じる現象には本来吉凶禍福不在である

 


✨運観✨

 


人はその生涯において無数とも言える現実現象に遭遇する。

それが他動的に身に迫る場合と自からに端を発して招き寄せる事象の何れであれ人はその時々において運不運を実感している。

 


然し、大財を得た、立身が叶つた、結婚出来た等が絶対の幸運とは断じ切れず時には不運の材料となる場合もある。

 


つまりお金や地位や配偶者が運の良否ではなく

 


「病いを苦にする人が病人」で「貧を嘆

く者が貧乏人」であり

 


物事をどう感じるかなのである。万事に不満を抱く者

苦には幸運は不在であり逆に凡ゆる事象を希望と喜びで迎える事が出来るならば、その人の人生は幸福に帰結する。

 


それは何事をも善意に解釈せよとか、前向きに受け止める可し等と言う無理な論法ではなく

「運の本質、実体」を明察するだけで

自然に吉凶成敗に動ずる事なく何事にも捉はれる事なき自己が顕彰されるのである。

 


即ち地球上での存在とは、相反する事象の反復と均衡の環境に適合していると言う事であり

 


それが人間の生存条件ゆえ人が持つ運も全く同じで

あり悲喜成敗共に訪れる事こそ幸運なのであり人生を完うする秘訣に他ならず

 


その相対こそ自然(当り前)と達観出来れば最早その人には運の良否は不在であり、神仏(陰陽相対の象徴)を超えた真人として燦然と輝ききるのである。

 


✨ 無為而為✨

人は皆、或る日或る処で、自らにとつては何の理由も意図、意味もなしに

 


突如として出生を与えられて世に出る。

親や家を選ぶ事も、 時代や社会も全ては一方的に押しつけられ作ら拒む事は許されず更には自らの人生であり作ら

昨日から今日明日、未来へと只ひたすら前進の1方通行を強いられ、戻る事もやり直しも利かずに

 


子供-青春-中壮年-老晩年と泣き笑いの旅を重ねた末或る日突然その全てを奪はれて生涯の幕を閉じる。

 


この完全受動こそが萬人共有の基本的な人生のストーリーである。

 


更にその大きな自然の流れの中で、人は各々個有の

栄枯盛衰や吉凶禍福の練磨やドラマを与えられそれを乗り切る篇に自由と知恵、

ファイトや努力を行使して自らの手で望みを遂げ満足を得んとして頑張るが

 


その自力の闘いはいつかは「結果空し」 の解答に出逢う事になり、そこで改めて自らを見直すのであり

 


結極、ここに実在の吾とは3億年の人類進化の果てとの当然を悟るのだが

 


その進化とは生物が自己身辺の環境に自らを合はせて変化変身を重ねて来た事に他ならず。

 


故に大古より人間は身辺の生存条件に合はせ受動的に生きる事を生き方の基本とし、それによつて存続と繁栄をかち得て来たのである。

 


故に少し口惜しくとも自然随順の生き方こそ理想の結果を得るのであると悟らねばならない

 


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